これから需要拡大?!管理栄養士
求められる栄養士と管理栄養士
2021年度の介護報酬改定により、管理栄養士・栄養士の活躍の幅が広がり、介護保険制度の基本理念のひとつ「自立支援」の実現に向けた重要な役割として大きく期待されています。その理由や、現状、これからの展望を簡単にご紹介します。
栄養士・管理栄養士に関する2021年度介護報酬改定
施設系サービスの人員基準に「管理栄養士」が明記されたことや、運営基準に「栄養管理」が規定されたことで、これまで栄養士のみしか配置していなかった施設も、事実上、管理栄養士との複数配置が進められることになりました。さらに、栄養ケア・マネジメントは、これまでの加算から、実施されていない場合の基本報酬減算へと制度変更されたことで、栄養管理が基本サービスとして位置付けられたことになります。
具体的には、例えばこれまで管理栄養士1名という管理体制から、管理栄養士の1名増員、さらに厨房の調理職員を栄養士として配置して給食管理を任せたことで、管理栄養士が、利用者全員を細部まで丁寧に見られるようになったという施設もあります。また、介護職員や看護師は、管理栄養士と情報共有することで、環境調整や介助の工夫がしやすくなりました。
現状とこれから
栄養管理の最先端は医療現場というイメージがありますが、それが変わりつつあります。2005年に栄養管理体制加算・栄養マネジメント加算が新設されて以降、管理栄養士が介護現場にいることが当たり前になってきました。ただし、2020年度の調査では、養成施設卒業後、介護保険施設や社会福祉施設で働く管理栄養士・栄養士はおおよそ2割程度と、期待や効果の大きさに対してまだそれほど多いとはいえません。
今回の新たな介護報酬改定により、良い効果を実感できている施設もあることから、それが多くの施設へと波及し、自立支援の実現に繋がっていくと予想されます。これからは「栄養が摂れれば良い」ではなく、食を通じて「利用者の生活を彩る」ために、厨房に引きこもって行う仕事ではなく、より一層ひとりひとりに寄り添った仕事ができる職業となっていくはずです。