ユマニチュードの実践「5つのステップ」
ユマニチュードの効果
マニチュード技法の導入で、態度や言葉が攻撃的だった症状が改善されたり、内向的な性格が外交的になり、会話やコミュニケーションの回数が増えて認知症が改善されたりといったことが期待できます。その他にも、介護する人の負担が格段に減り、介護職の離職率が下がり、介護職や看護職の人手不足解消の一助にもなり得るでしょう。
ここでは、ユマニチュードの基本「4つの柱」を実践するために、ケアの5つのステップを確認しましょう。
ステップ1) 出会いの準備
利用者の部屋へ訪れるときは、事前に伝えることが大切です。心身ともに準備が必要な場合があるため、受け入れる体制を整えてもらえます。突然話しかけて動揺させないよう、まずはノックなどから始めます。
具体的には
- ①3回ノック
- ②3秒待つ
- ③3回ノック
- ④3秒待つ
- ⑤1回ノックしてから「入りますよ」と声をかけて部屋に入る
- ⑥ベッドボードをノックする
このように、徐々にこちらの存在に気づいてもらえるよう、相手の反応を待つことを繰り返します。もちろん、1回目で返事があれば、2回目以降のノックは不要です。
ステップ2 )ケアの準備
ここでも、今からケアをすることを伝えることが大切です。ケアをするのに同意を得ることは必須で、20秒~3分程度の時間で同意が得られず断られた場合、一旦ケアは諦めます。介護を始める前にしっかり意思疎通を行い、自分がケアを担当することを伝えなければいけません。
ステップ3 )知覚の連結
ケアは、それぞれの個人にあった方法で、ユマニチュードの4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」を利用しながら行います。さらに「目を見ながら、背中に触れる」「説明をしながら、手を添える」など、常にポジティブな2つのアクションを同時に行うとよいでしょう。
ステップ4 )感情の固定
ケアに対してよい感情をもってもらうことで、次の機会も拒否されることなくケアすることができます。特に認知症の人は、認知症が進行しても感情の起伏があった出来事はよく覚えている傾向があります。感情の動きに注意しながら、ケアに対してポジティブな印象を残すようにしましょう。また「シャワーをしてさらに素敵になられましたね」「私もとてもうれしかったです」という前向きな言葉のやりとりも効果的です。
ステップ5) 再会の約束
ステップ4までしっかり実行することができたら、最後に次に会う約束をします。次回の約束をメモにして置いておくのも効果的です。常に目に触れることによって、約束を楽しみに待ってもらえるかもしれません。お互いの信頼関係は、このようなステップを繰り返すことで、築いていくことができます。