介護職の方が居てくれるからこそ、本人の意思を尊重した介護が可能に
私の父は3年前に癌で他界しました。
ちょうど新型コロナ感染症が本格的に流行して初めての夏のことです。
この頃は多くの入院患者さんが面会すらも断られ、孤独の中で亡くなられたという話も耳にしました。
そんな中、私の父は自宅療養をすることができ、幸いにも、家族みんなで看取ることができました。
それが叶ったのは、ケアマネージャーさんやデイサービスのスタッフさんが居てくれたからこそ。
私たち家族を支えてくれた介護職の方々の話を紹介したいと思います。
家に帰りたい
父の癌は入院時点ですでに手術で取れる状態ではなく、抗がん剤治療しか道がありませんでした。
しかし、その分入院期間は短く、自宅からの通院が基本でした。
ところがある日の明け方、突然大きな音が家の中で響きました。
父がトイレで倒れたのです。
原因は脳出血。
即、救急車で運ばれ、入院することになりました。
幸い命に別条はなかったのですが、後遺症として上手く右半身が動かせなくなり、病院でのリハビリ生活が始まったのです。
この頃はまだ、事前に予約し、検温等すれば面会にはいけました。
しかし徐々に状況は悪化し、面会も行きづらくなってきた頃、本人から「家に帰りたい」という話が出たのです。
病院とも話し合い、今の状況なら要介護認定されるからと、退院し、自宅で療養をすることになりました。
今思うと、あの時あの判断をしていなければ、病院に会いに行けなくなる日は近かったように思います。
それでもやはり、母も自分もいままで介護はしたことが無かったので、かなり不安を抱えながらの退院でした。
家族への負担
ほとんど歩けないので、家の至る所に手すりが付けられたり、段差をなくすようにカーペットを敷いたり。
トイレに行くにも付き添いが必要。
外に出るには車椅子を押さないといけない。
急に生活が一変しました。
それでも本人は歩くことを諦めず、病院に通ってリハビリを続けます。
そんな姿を見て、私たち家族も頑張ろうと言っていたのです。
ところが、脳出血の影響で抗がん剤治療をストップせざるを得なかったため、今度は癌の悪化が進んでしまったのです。
次第に父は起き上がることも困難になり、ほぼ寝たきり状態に。
家族の負担は一気に増えました。
負担と言うと聞こえが悪いかもしれませんが、正直、綺麗事を言える余裕はありません。
でも、そんな時に様々な面で支えてくださったのがケアマネージャーさんでした。
定期的に家を訪問し、状況確認や身の回りのお世話、家族へのヒアリングを丁寧にしてくれ、本人だけでなく家族も安心できました。
こんな時にはどうしたら良いのか?
介護する側にも休みが必要。
色んなことを教えてもらい、逆に話も聴いてもらい、本当に心の支えになっていました。
自分たちだけでなんとかしようとしていたら、いつか潰れていたかもしれません。
プロがそばに居てくれる安心感
そうした精神面でのサポートもですが、もちろん実務的な面でもとても助かりました。
日々のお世話をしてもらうデイサービスの紹介や、リハビリを続けるにあたっての病院との連携、訪問診療をしてくれるお医者さんの紹介など、必要なことの殆どを提案、代行してもらえました。
自分たちで調べることもできなくはないですが、やはり本人や家族の状況を知ってくれている「プロ」の視点で提案してもらう方が安心ですし、実務的な負担も減ります。
介護はいかに無理なくできるか?がポイントだと思います。
人におまかせできることはおまかせする。
家族のことでも、人に頼ることは決して悪くない。
そしてそれが、介護のプロに頼れるなら、一番良いかたちではないでしょうか?
少なくとも、父を含め私たち家族は、何かあった時、いつ電話しても嫌な顔ひとつせず駆けつけてくれたケアマネさんを本当に信頼していましたし、お願いして良かったなと思っています。
おかげさまで、最期まで父と一緒に家で過ごし、家族揃って看取ることができました。
本人も、一番望んだ生活を送れたと思います。
まとめ
最近ではヤングケアラーといった言葉もあるくらい、要介護者、そして介護する人が増えています。
介護職の方は、要介護者の方のケアをするのはもちろん、介護する側の人の負担を減らし、心の支えにもなれる、素晴らしいお仕事をされていると思います。
今後もますます必要とされる介護職員の方々。
今、すでに働かれている方も、今後、介護業界への就職を目指されている方も、
ぜひ、お仕事に誇りを持って頂けたらなと思います。