利用者の満足度UPにつながる「自分史」作り
介護施設において利用者の満足度を高めるには、サービスの質はもちろん、介護職員と利用者とのコミュニケーションも重要です。
とはいえ、年長者の多い介護施設では、趣味も思考も異なる利用者の方々全員を満足させる対応というのはなかなか難しいもの。
誰しも利用者との会話のきっかけ作りに困った経験があるのではないでしょうか?
そこで今回ご紹介するのが「自分史」作り。
利用者の方の歴史を知ることで、より良いサービスの提供やコミュニケーションが可能になるかもしれません。
「自分史」とは?
自分史とは、自分の人生を子供の頃から振り返り、文章や写真にまとめることを言います。
過去の出来事を思い出し、語ったり、文章にまとめたりすることで、回想と記憶を繰り返し、脳を活性化。
認知症予防にもつながると言われています。
最近では介護施設に限らず、高齢者の間で人気になっているようですね。
自分史が会話のきっかけに
冒頭にも述べたように、利用者の方の興味・関心はそれぞれで、みなさんに共通して通じる話題は少ないもの。
その人ごとの趣味などを把握できていれば理想ですが、ただでさえ人材不足が叫ばれる介護業界。
しかも高齢者は増える一方という状況の中で、全員の人となりを覚えておくことは容易ではありません。
かと言って、天気や気候のこと、時事ネタなどの無難な話題ばかりというわけにもいきません。
そんな時に役立つのが自分史。
ご自身の話であれば、大抵の方は喜んで話してくださいます。
子供の頃のことや、青春時代にハマったこと、お仕事はどんなことをしていたのか?
きっと語りきれないほどのエピソードがあることでしょう。
そのまま会話の中で聴くのも良いですが、施設のレクリエーションとして自分史作りをするのもありでしょう。
一度じっくりと自分の歴史を振り返ってもらう時間を取り、ノートなどにまとめることで、誰でもその人との会話のきっかけを作れ、施設全体のコミュニケーション力UPに繋げられます。
自分史を作ることで潜在的なニーズを知る
介護サービスの本来の目的は、その人なりの自立を支援すること。
しかし、実際のところは、介護される御本人もしくはそのご家族が「できない」ことを補助することが主体になっていることが多いです。
例えば、病歴や薬の服用歴、症状など、体調に関するヒヤリングは日々行われているかと思います。
しかし、そればかりでは、要介護者がただ生きる為の支援ということになりかねません。
もちろん、できないことをサポートすることも必要です。
その上で、その人がやりたいことを知り、その人が望む介護、望む生活をできるだけ実現すること、自分らしく生きることを支援するのが、介護サービスの使命なのです。
そしてその実現に役立つのが自分史です。
自分史を作ってもらうことで、その人が今までどのような人生を送ってきたか?何を大切にしてきたのか?が分かります。
それを知ることにより、その人らしさや尊厳を守った生活を送る手助けがしやすくなります。
より喜んでもらえる介護サービスができるのではないでしょうか。
生きた証を後世に遺す
そして何より、利用者様の自分史を作ることは、そのご家族や友人、知人に、自分の生きた証を遺すことになります。
人生は人それぞれ。失敗談、成功事例、チャレンジ体験など、色々あるでしょう。
そのどれもが、その人にしか無い経験や知識であり、それらは何ものにも代えがたい貴重な財産です。
それを後世に遺し、共有すれば、自分の大切な人の人生を豊かにするヒントとなるでしょう。
また、子孫が先祖を知る貴重な資料にもなります。
御本人はもちろん、ご家族にも喜んでいただけることでしょう。
まとめ
人生を振り返り、記録し、遺す「自分史」を作ることには、認知症の予防や話題作り、自分らしさやニーズの発見など、様々なメリットがあります。
介護サービスの一環として、ぜひ、レクリエーション等に取り入れてみてはいかがでしょうか?