覚えておきたい介護職員ができない医療行為
何がダメでどこまでいいのか
介護職は、日常生活に必要な医療的な生活援助に関して「医療的ケア」として行うことができます。しかし、医療行為との線引きはしっかり理解して覚えておかなければいけません。医療行為は、相手にケガや後遺症を与える恐れがあるので、医療的ケアか医療行為か、慎重に判断しましょう。
測定結果からの自己判断
体温・血圧・酸素飽和度の測定までは介護職にも行える行為ですが、その結果から「薬をやめておきましょうか」などの自己判断は医学的判断となり、禁止行為です。結果に異常が現れた場合は、速やかに医師の判断を仰ぎましょう。
症状の重い処置
軽い切り傷・擦り傷・やけどなどの処置は、包帯を巻いたり絆創膏を貼ったりなど、専門的な知識が必要ない、常識の範囲内で応急処置可能です。水ぶくれを破る、皮膚を切除するなどはできません。
褥瘡部分の処置
ガーゼ交換や、褥瘡周辺の水洗い・ワセリンなどの外用薬の塗布は介護職でも行えます。ただし、褥瘡の患部そのものを消毒したり、薬を塗ったりすることは医療行為にあたるので、看護師や医師が行います。
炎症を起こしている時の爪切り
通常の日常ケアとしての爪切りは問題ありませんが、何か炎症を起こしているなど、異常をきたしている際の爪切りは、皮膚を傷つけるおそれがあり医学的判断が必要ということで医療行為となり、介護職には行えません。
一部の排泄介助
人口排泄口の排泄物除去や、自己導尿の補助のためのカテーテル準備などは介護職が行っても問題ありません。ただし、肌についたパウチを取りかえたり、カテーテルの挿入をしたりということは、医療行為になるので注意しましょう。
痰吸引と経管栄養
これらは医療行為にあたりますが、一部の条件を満たす介護職は処置することが許されるようになりました。それ以外の介護職は行うことができません。
摘便
腸壁を傷つける恐れがあるため医療行為となります。ケアマネージャーを介して、摘便を行えるサービスを組み込むようにしましょう。
インスリン注射
利用者が自分でうつ注射を補助するだけであれば医療行為にはなりませんが、介護職の手から注射することはできません。
血糖測定
血糖値の測定には、利用者の身体に針をさす必要があるため、これも介護職には行えません。また、血糖測定の結果を基に薬の単位調整をする行為も医学的判断とみなされ、禁止されています。