転職時に確認しておきたい施設の理念
職員の行動指針
利用者の尊厳を守るには、忙しい毎日の中で基本に立ち返り、理念に沿った行動をとることが大切です。また、職員が一体感を持って働くことで、良好な人間関係で離職率も低い良い職場環境となり、結果的に質の高いサービス提供ができます。逆にいえば、笑顔あふれる現場の施設は、しっかりした理念が全員に浸透しているといえます。
現場と理念の一致
理念の違いがどのようにあらわれるのか、食事を例にしてみます。ある介護施設では食事の質を重視しており、調理の人手や手間がかかっても冷凍品やカット野菜を使わず、新鮮な食材を形がしっかりわかるように調理して提供しています。外出の機会が減り、毎日の楽しみが食事だけという人にも喜ばれています。
一方、あるグループホームでは、少ない職員で食事の準備にはできるだけ時間をかけず、カット野菜などを使って効率的に調理するようにしています。その分、食事介助にゆっくり時間をかけ、和やかな雰囲気で楽しめるよう工夫しています。提供するサービス内容は対称的ですが、どちらも利用者のことが考えられています。
もしも忙しい中で理念を見失うと、食事を味わう間もなく次々と口元へ運んだり、食材の色や形が分からない離乳食のような食事になったり、時間をかければ食べられる人にも介助したりなど、利用者の尊厳を守れなくなってしまいます。
理念と現場を照らし合わせ、矛盾がないか施設見学で確認しましょう。素晴らしい理念を掲げながらも、矛盾を感じたら要注意。疑問に感じた介護方法の理由を質問してみてもよいでしょう。