面接に向けて自分の声をつくろう①
声を作る①「腹式呼吸」編
一生懸命早口言葉などを練習していても、噛んでしまったり大きな声が出なかったり、きれいに喋れないと感じている人は多いと思います。実は、その練習の方向性は間違えている可能性があります。
例えば、ハキハキ喋ろうとできるだけ大きな口を開けて話そうとしていませんか。大きく口を開ければ開ける程「言葉」という複数の音を出すときに、動かす口の動きは大きくなります。
NHKニュースのアナウンサーの口元に注目してください。滑舌よく喋っているのに、それほど口は大きく開いていないはずです。また、腹話術師はどうでしょう。口が閉まっているのに、滑舌良くしゃべっていますよね。
面接は演劇の舞台とは違います。それほど大きな声を出さなくても、ある程度の音量で正しく喋ることができれば声は届きます。滑舌や適度な声量で話す重要なポイントは、口の大きさではなく「呼吸」と「舌や唇」なのです。
腹式呼吸の重要性はよく知られていますが、難しいと感じるかもしれません。試してみたけれどうまくできないという人には、風船を使う方法をおすすめします。買いたての風船は膨らみにくいので、事前に引っ張ったり膨らませたりして、ゴムを伸ばしておきましょう。
1)腹式呼吸の感覚をつかむ
姿勢を整え、力を抜き、片手はお腹のあたりに軽く当てます。顎を引いて風船をくわえたら、お腹に空気を最大限溜めるイメージをしながら鼻からたっぷり息を吸います。自然とお腹が少し膨らむはずです。頬は膨らませません。そこからやさしく息を長く吐き、風船を膨らませます。
吐くときに強弱の波が出ないよう、長く続けられる強さで一定に保ちながら行います。ゆっくりとお腹がへこんで空気が出ていくイメージです。
風船が膨らまなければ少し息を強めてみますが、そのままの強さで吐き続けます。力が入ったり、姿勢が悪くなったりしないよう、鏡を見ながらすることをお勧めします。
2)腹式呼吸に声をのせる
風船が膨らむようになったら、今度は同じ要領で「ふぅー」もしくは「はぁー」と声を出しながら風船を膨らませます。
膨らませるようになれば、今度は風船を使わず、その感覚を忘れず「はぁー」「ひぃー」「ふぅー」「へぇー」「ほぉー」と、それぞれ息が続く強さで声を出しきります。「声を出す」というより「漏れる声を強める」イメージです。
息が切れそうになったら、息を弱めるのではなくそこで終わります。吐く息はあくまで一定の強さを保ちましょう。胸が上下したり、のどが痛いと感じたりした時は、胸式呼吸になっている可能性があるので、風船からやり直します。
なぜハ行で行うのかというと、ア行でやるとどうしても力が入ってしまったり、喉声になりやすかったりするからです。hという無声音にa(あ)をのせて声を出すイメージです。口は無理に開ける必要はありません。リラックスして自然に開く大きさで声を出します。
自分の出しやすい音量、音程を模索しながら、長く出せるように毎日少しずつ続けます。長時間を一度にやるより、短時間で一日に何度かやることで、声を出しやすい時間や身体の状況も見つかります。できるようになってからもこの工程を一通り準備運動のように繰り返せば、腹式呼吸のコツを身体が覚えてくれるようになります。
次は「舌や唇の動き」についてご紹介します。