面接に向けて自分の声をつくろう②
声を作る②「舌と唇の動き」編
「腹式呼吸」編では、声の出し方の練習法についてお伝えしました。同時に、舌や唇のトレーニングも行いましょう。
その前に知っておいていただきたいのは、舌の長さや顎の骨格、歯並びなどによって、上達の幅はかなり個人差があるということです。「表情」編でカバーできることも多くありますので、プロの声優になるならともかく、面接対策としては、滑舌の改善だけに多くの時間をかけるよりも、その時間の一部をその他の対策に充てることをおすすめします。
1)舌を自在に動かす
舌は、口を閉じている時の舌先は「上の前歯の後ろ」、開けている時は「下の前歯の後ろよりも下がった付近」が正しいポジションです。喋るときに舌はそこから様々に動くのですが、その動きがスムーズになるように訓練します。
まずは、表情筋の訓練と同時に、舌の訓練を行います。やはり姿勢を正し、鏡の前で力を抜いて、まずは前にべー、とできるだけいっぱいに突き出します。そのまま、右、上、左、下、ぐるり一回転、その逆、と舌を動かします。
はじめの突き出したポジションに戻ったら、今度は舌の幅を広げたり狭めたりしてみましょう。その他にも色々やり方はありますが、まずはこのセットを行い、あとは自分で鏡を見ながら、舌がどんな風に動くのか、動かしながら観察して楽しんでください。
次に「タングトリル」の練習です。舌先の力を抜き「口を閉じている時の舌のポジション」より少し手前に舌を引いた位置に、舌をぶつけるように息を吐きます。まずは「オル」から練習して「オルルルルル」と長く続けられるように練習しましょう。「オル」でなくても「アル」「エル」「オラ」など、やりやすい音で構いません。
これは、面接直前の口のウォーミングアップにも使えます。音の高さを変えたり、別の音にして遊び感覚でやってみましょう。
2)口は大きく開けなくてよい
「あ」の口は指が3本入るくらい開けましょう、なんて言われますが、前述したとおり口はそれほど大きく開けなくても、腹式呼吸が出来ていれば聞きやすい声が出せます。むしろ喉を痛めたり滑舌が悪くなったりなど、デメリットの方が大きいかもしれません。ウォーミングアップとして口を大きく開けたりすぼめたりするのは効果的ですが、実際に喋る時には、軽く「え」と声をだす口の大きさが適切です。
「え」と軽く声を出して、そのままの口の大きさで「あ、い、う、え、お…」と言ってみましょう。大きな声を出そうという意識は捨て、腹式呼吸を意識してください。口の大きさは変えずに形を変えようとすると、唇に力が入る感じがわかりますか。唇がだらっとし過ぎていたり、アヒル口のように力が入りすぎていたりすると滑舌よく喋ることができません。このように、唇に緊張感を持たせることが必要です。
唇の緊張感を感じられるようになったら、真顔で「え」と発したあと、頬の一番高い所を少し上に持ち上げてください。微笑んでいるような感じになると思います。その頬の位置で、唇に緊張感を持たせて「あ、い、う、え、お…」とひとつひとつ確認するように声を発します。
3)早口言葉はゆっくり練習する
一般的に滑舌の練習によいとされている早口言葉ですが「早く喋る」というやり方を変えて、より効果的な練習法をお伝えします。
2)のコツをつかんだら、その感覚で今度は早口言葉をゆっくり丁寧に読みます。はじめは一音ずつ丁寧に確認するように読み、だんだん「言葉」として捉えながら読みます。やはり早くは読みません。文章として読むときは滑らかになるよう意識しますが、ここでも早くならないように気をつけましょう。
この練習は、途中から「表情」編と並行して行うと良いでしょう。面接では緊張して早口になりがちなので、早口で早口言葉を読む練習はやめて、むしろ、緊張した時に意識してペースダウンさせるためにも、意識してゆっくり正しく話す練習をおすすめします。
4)口のウォーミングアップ
面接直前のウォーミングアップには「リップロール」や先述の「タングトリル」がおすすめです。
リップロールは口を閉じた状態で息を吐き、唇をプルプル震わせます。これも腹式呼吸で一定の息を長く続けて吐けていないとできません。
最後に「表情」についてご紹介します。