食事介助で一番大切なこと
声かけや観察によるコミュニケーション
食事介助を受ける人の気持ちを考えたことがありますか。食事介助の方法は、知識として知っていれば知っているほど、気持ちを考えるということを忘れてしまいがちです。しかし、その気持ちを想像することは簡単ではありません。想像が難しいのであれば、体感してみましょう。誰かに、食べさせたり飲ませたりしてもらってください。相手に向けて大きく口を開け、時に目を閉じて鼻をつまむなどして五感の一部を閉ざして食事介助を受けてみましょう。「恥ずかしい」「怖い」「楽しくない」などと感じるかもしれません。なぜそのような感情が湧くのか、どうすればそのような思いをさせずに介助できるのかを考えてみましょう。
声かけの重要性
口の中に無言で食べ物を入れられる行為は、予想以上に怖いものです。介助する側は、マニュアル通りにやることに意識が働き、つい声かけを忘れてしまいがちです。ひとつひとつの動作に実況中継を入れるように、しっかりと行いましょう。また、その際「ご飯食べましょうね~」「お口大きく開けましょうね~」などと赤ちゃんに食べさせるような声かけはNGです。人生の大先輩への尊敬を忘れないようにしましょう。
観察しながら声かけをする
実況中継といっても、単なる一方通行の声かけはよくありません。例えば、一口の大きさの適量がわかりますか。自分では少ないと思っていても、それは相手にとっては多い量かもしれません。介助を受ける人にとって、食べさせて「くれる」人に対するリクエストはハードルが高いもの。介助者がしっかりと観察しながら「少し多かったですか」「このくらいでいいですか」などと声かけしましょう。
コミュニケーションとしての声かけ
配膳された料理の何から食べさせますか。はじめは汁物などが食べやすいかもしれません。でも、目の前にあるコロッケが大好物な方だったらどう思うでしょう。真っ先にコロッケを食べたいと思っているかもしれません。また、おかずだけ先に食べたい人、ご飯と交互に食べたい人、人それぞれのはずです。好きなように好きなだけ食べられないことは、かなりのストレスです。「今日は〇〇さんの好きなコロッケですね」「コロッケを美味しくいただくためにちょっと喉潤しておきましょうか」「次はご飯にしますか」などはどうでしょう。ただ、正解は一つではありません。コミュニケーションをとりながら、その人にとって楽しく安全に食べられる方法を探ることが大切で、そのためのひとつの手段が声かけなのです。
関連記事