高齢者の「食」の重要性と介護食
高齢者にとって大切な「食」とは
日常生活から刺激を受ける機会が少なくなり「1日3回の食事が毎日の楽しみ」という高齢者も多く、単なる栄養摂取だけではなく、よい食事をすることで精神的な満足感を得て、生きる楽しみのひとつとなるのが食事です。
しかし、食べられるものが限られたり、食べる量そのものが減ったりすると栄養不足になりやすく、その人に合わせた調理の食事が必要となります。また、顔の筋肉が衰えたり歯が弱くなったりすると、嚥下力や咀嚼力が衰え「誤嚥性肺炎」にも繋がります。
栄養不足で免疫力が低下すると、病気にかかりやすくなります。消化器官の働きが低下し、便秘や下痢になって、さらに食欲不振に陥り、栄養不足が進行します。このように負のループに陥らないよう、毎日の食事のを大切にしなければいけません。その他、脳の栄養不足による認知機能低下も指摘されています。
介護食とは
噛む力や飲み込む力が弱くなっている人が安全に食べられるように調理方法などを工夫した食事のことです。不足しがちな栄養素を含む食材を多く使い、噛んだり飲み込んだりしやすいように調理されていて、塩分控えめです。ただし味が薄すぎると、食べた時の満足感が減ってしまうため、食べる人の好みを尊重して塩分コントロールされた介護食の提供が必要です。
介護食の段階区分
- 容易に噛める:普通のご飯~やわらかいご飯
- 歯茎で潰せる:やわらかいご飯~5倍粥
- 舌で潰せる:5倍粥
- 噛まなくてよい:ペースト状のお粥
介護食の種類
- きざみ食
小さく刻んだ食事で、口を大きく開けられない人や、噛む力が低下した人に適しています。 - ソフト食
柔らかく調理した食事で、噛む力や飲み込む力が弱くなった人の他、消化不良を起こしやすい人にも適しています。 - ミキサー食
液体状にした食事で、誤嚥しないようとろみをつけている場合もあります。あまり噛むことができず、飲み込む力が弱くなった人に適しています。 - 嚥下食
さらに飲み込みやすくするために、ペースト状やゼリー状にした食事です。飲み込む力が弱く、特に誤嚥が心配な人に適しています。 - 流動食
スープや重湯など液体状の食事で、消化のしやすさが重視されています。高熱の時や、胃腸の手術後など、消化する力が弱っている人に適しています。