ノーリフティングケアがもたらすもの
ノーリフティングケアとは
オーストラリア発祥の腰痛の予防方法で、1998年頃から取り組まれはじめ、ヨーロッパなど海外諸国ではすでに普及・定着しています。人の力だけに頼る移乗をやめて福祉用具を最大限に活用し、介護職員の負担を削減します。利用者・職員双方の満足度が高まることによる介護の質の向上が期待されています。
日本の腰痛予防策
例えば60kgの女性が持てる最大重量は14.4kgなどの重量制限はこれまでもありましたが「人による人の抱え上げ」は除外されていました。2013年に「原則として人力による人の抱き上げは行わせない」「福祉機器の活用を促す」ことが厚生労働省の指針に明示され、さらに近年、ノーリフティングケアに取り組む事業所を評価する検討が具体的にはじまりました。
導入のメリット
- 介護職員の身体的負担の大幅削減ができる
- 無理な力がかからず利用者がリラックスしたまま移乗でき転倒などの事故予防につながる
- 利用者の「申し訳なさ」からくる精神的負担を減らせる
- 離床機会の増加でリハビリにもプラスにはたらく
- トイレ誘導が容易になることでおむつ使用が減って尿路感染症のリスクが減らせる
- 重労働という介護職のイメージを払拭できれば介護職希望者が増え人手不足の解消につながる
- 褥瘡や外傷を減らせる(外来受診で負担となっていた人員や時間のコストカットも)
- 重労働や腰痛による退職者を減らせる(採用にかかるコストカットも)
- 学生にとっても魅力的な「ノーリフティングケア」というキーワードが安定した新卒採用につながる
など