心理学を応用した会話術②
ミラーリング
利用者やその家族、上司や同僚との信頼関係構築に使えるコミュニケーション技術のひとつ「バックトラッキング」を紹介しましたが、今回は「ミラーリング」を紹介します。会話をしながら動作や姿勢、表情などを真似て相手に合わせることで、相手を尊重し、調和がとれた関係を生み出すことができます。身振りやしぐさ、まばたきの速度から表情までしっかりと観察して、より相手を理解しましょう。
相手に気づかれないように行う
とにかく何でも真似すればよいというものではありません。真似されていると相手が気づいた時、不快に思う可能性があります。目安としては、自分がミラーリングをしていて「違和感」を感じれば、それは避けた方がよいでしょう。しぐさを真似る時は、相手の動きから少し間をおいてさりげなく行いましょう。
具体例
高齢者だからといって一律にゆっくり会話するのではなく、その人に合わせたスピードで話をします。途中で笑顔になったなら、一緒に笑顔を見せ、その時に手を叩いて笑っているなら、こちらも手を叩いて笑うか、叩かずとも手を合わせて笑顔をつくるなど、ジェスチャーも真似しながら会話するとよいでしょう。
例えば、認知症の方が歩き回っていたら、まずは呼吸を合わせ、同じように歩き回ってみましょう。「家に帰らなくちゃ」と荷物をまとめようとしていれば、それを止めるのではなく「じゃあ一緒に帰ろうか」とお手伝いしてみるのもいいかもしれません。そうして動きを共にしているうちに、落ち着きを取り戻すこともあるでしょう。