ADL低下の予防法
筋力・体力・認知能力の低下を防ぐ
こちらの記事で書いたように、ADLとは日常生活に必要な動作のことを指しますが、整形外科的疾患や内科的な疾患、認知症の影響や、加齢に伴う筋力の衰えがきっかけとなり、ADLの低下を招くことがあります。ここでは、ADLの低下を防ぐための方法をご紹介します。
運動の習慣化
筋力や体力の低下で歩くことが難しくなると、外に出たり運動や家事をしたりする機会が減り、ますます筋肉が衰えるという悪循環に陥ります。そのため、運動を習慣化することは、筋力の低下を防ぎ、ADL低下予防にも繋がるのです。普段の生活に少しのウォーキングを追加したり、ラジオ体操を定期的行ったりするだけでも十分筋力維持に繋がります。毎日できなくても構わないので、ご本人に合った続けられる運動を見つけることが大切です。
栄養バランスのよい食事
食事量の不足によって筋力低下が起こるケースも多く、摂取エネルギー量や、筋肉の原料である「たんぱく質」などが不足しがちです。運動した直後に糖質とたんぱく質をセットで摂ることで、運動効果を引き上げられると言われています。
手伝いの限度を見極めたサポート
IADLは、買い物や家事などに加え、それに伴う判断や意思決定ができるかどうかも含まれます。健全で健康的な生活を送るためには欠かせない能力で、これらが維持できなくなると、やがてADL低下を招きます。「自分でできることは自分でやってもらい、必要なことだけサポートする」ことが基本で、過度な介護は能力が衰え、できていたことまでできなくなってしまいます。さらに、本人のモチベーションをも奪いかねません。
例えば、車いすに座らせっぱなしではなく、歩行補助器具などを利用して自力で歩く機会をつくり、外出のモチベーションを高めたり、引き戸や手すりといった本人が行動しやすいような生活環境を整えたり、自力を促す工夫が必要です。
デュアルタスクの意識
足踏みしながら歌を歌う、歩きながらしりとりをするなど、複数のことを同時におこなう「ながら動作」をすることで、認知機能を維持することができ、認知症予防、およびADL低下予防に繋がります。施設のレクリエーション企画では、簡単なデュアルタスクができるよう工夫してみましょう。