エビデンスとコンセンサス
介護用語を理解しよう
介護の仕事をしていると、カタカナの難しそうな用語に出会う機会があります。一般のビジネスシーンとは違う意味で使われていることもありますが、比較的新しい介護用語であることが多いので、ぜひ理解して最新の介護技術や情報に触れておきましょう。
エビデンス・コンセンサスの意味
エビデンス=「根拠」、コンセンサス=「意見の一致、合意」ですが、コンセンサスは日本語で「全員の意思統一」という意味で使われることが多いようです。また、ビジネスの場では「根回しをする」という意味でも使われますが、介護では、エビデンスベースケア、コンセンサスベースケアという言葉が使われています。
コンセンサスベースケアとは
エビデンスベース診療の推進など、医療業界ではそれまで経験則で医療提供されていたものを、検査等、根拠に基づいた医療をするように言われ始めたことがきっかけで生まれた言葉が、介護の世界にも入ってきました。介護業界では、2021年に運用が開始された「科学的介護情報システム・LIFE」によって「根拠のある介護」や「コンセンサスに基づいたケア」が求められるようになってきました。このコンセンサスとは、利用者と介護士だけの二者間だけではなく、関わる医師や看護師、理学療法士や作業療法士、ケアマネジャー、利用者の家族など、地域ケアシステムのチーム全体のことを指し、チームで一致したケアを実施しようというものです。
コンセンサスベースケアとはどのようなものか
例えば「薬をうまく活用して健康的に生きる」という方向でコンセンサスがとれていれば
- 医師:睡眠薬の量は減らさず、薬が効いているか確認する
- 看護師:種類や量が適切か見守る
- 介護士:日中、薬が身体に残り、眠りが継続していることで起きるふらつきに注意して介護にあたる
- ケアマネ:それに基づいたケアプランを作る
というように、睡眠剤をしっかり飲むことで睡眠の時間をコントロールします。朝しっかり起きて、夜ぐっすり眠ることができるので、生活リズムが整い、自律神経も整って、薬と上手く付き合うことが可能です。
逆に「薬に頼らない生活を送る」という方向性のコンセンサスがとれていれば、
- 医師:睡眠薬の処方量を減らす
- 看護師:眠れないことによる心身の悪い状態がないか見守る
- 介護士:睡眠不足からくるふらつきがないか意識して介護にあたる
- ケアマネ:それに基づいたケアプランを作る
というようなケアを行います。夜が眠れないので朝はゆっくり起きて、デイサービスは午後のみ行くという生活をすることで、薬の量を減らすことができます。
もしもこのコンセンサスがとれていなければ、薬が多いからと医師が薬の量を減らし、夜眠れなくなった本人はイライラしながら朝方に寝付き、デイサービスのお迎えが来てもまだ寝ていてデイサービスに行けないということになってしまいます。そのような状況にならないようにするためのケアが「コンセンサスベースケア」とも言えます。