メモを取る理由と活用
メモの蓄積は「自分マニュアル」完成の第一歩
メモを取ると「相手に失礼だし、覚えたつもりになって実際には覚えられていない」という意見があります。それでも、実際に介護現場で働くなら、絶対にメモは取るべきです。もちろん話を聞きながらその場でとるのか、話し終わったあとで書き出すのかは、TPOに合わせる必要があります。メモを取って「自分マニュアル」を作成して、利用者に寄り添った介護の実現を目指しましょう。
メモを取るのはなぜ?
メモを取るべき理由はずばり「覚えないため」です。「覚えなければいけないのに、覚えないため?」と思うかもしれませんが、メモを取らずに暗記しようとすることは、脳に大きな負担がかかり、非常に労力のかかることです。しかも、業務に必要な「覚えなければならないこと」は膨大な量なので、1度教えてもらっただけで完璧に覚えることは不可能なのです。
「覚える」という負担を減らすことで「考えること」に労力、脳を使うことができ、目の前の利用者への臨機応変な対応や、よりその人に合った適切な対応ができるようになります。以前教わったことが必要になった時に、書かれたメモ(マニュアル)を取り出せば問題ありませんし、また、メモを見返し、思い出す作業を行うことで、余裕のある時にゆっくりと覚えていくことができます。
もう一つ大切な理由は「何度も同じことを聞かないため」です。「何回でも聞いていいですよ」と言ってもらったからといって、メモを取らず何度も尋ねると「理解できていないのかな」「覚える気ないのかな」と思われてしまいます。また、先輩や教育係の人の時間を奪うことにもなります。出来るだけ何度も同じことを聞かないように、メモに残しておくようにしましょう。
メモを自分マニュアルに変える
仕事を教わりながらとるメモは、走り書きで構いません。しかし、書きっぱなしで1日経つと、読めなかったり、何を書いたか忘れてしまったりする可能性があります。そこで、その日の仕事を終えて帰宅したら、パソコンでわかりやすく書き換えて、内容を整理、ファイリングして、職場で必要な時に確認できるようにしておきます。必要な時にマニュアルを見返すようにすれば、膨大な情報を覚える必要はありません。
また、メモを取ることは、その他にも様々なメリットがあります。利用者の情報を文章で整理しておくことで、必要な時に素早く情報が引き出せます。さらに、利用者情報を比較することで、何かいいアイデアが生まれるかもしれません。そのため、文章だけではなく、表や図も使って視覚的にもわかりやすく整理するといいでしょう。「あれなんだっけ」という悩みも、整理した資料(自分マニュアル)を見返せばいいので、短時間に自分で問題解決できるようになります。