今話題のオンラインレクってどんなもの?
広まる新しい介護レクの形
これまで、毎日のように様々な介護レクが行われていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけで、外出する機会や外部講師を招くことが難しくなり、介護施設内で提供されるものにも制限が伴うようになりました。介護レクそのものを行わないという感染症対策は、心身機能が低下するリスクもあり、利用者にとってベストな選択肢とはいえません。そんな中、ICTの進歩もあって「オンラインレクリエーション」が広まりつつあります。
オンラインレクとは
オンラインレクとは、施設と、そこから離れた場所とをインターネットで繋ぎ、映像や音声を共有して楽しめるレクリエーションです。これまでは、配信者から一方的に発信された動画にアクセスして視聴するテレビのようなものが一般的でしたが、最近は、テレビ電話などのようにこちらからの反応を伝えることが可能な、双方向コミュニケーションを行えるものが増え、新たな介護レクの形として注目を集めています。
新しいオンラインレク
これまでは経験できなかったことが、オンラインだからこそできるようになったこともあります。例えば、海外の日本人ガイドとテレビ電話をつなぎ、各地を紹介するというオンラインツアーは、旅行気分が味わえます。しかし、それだけであればテレビの旅行番組を見ているのと変わりありませんので、リアルタイムだからこそ楽しめる工夫が取り入れられています。
現地フードを事前に取り寄せたり似たものを調理するなどして用意しておいて、ガイドが紹介した際に一緒に食べることで、現地の魅力を舌でも楽しめるようにしたり、簡単な現地のあいさつやその土地に関するクイズを通して、現地の文化に触れてもらったりというような工夫です。また、用意した2色の旗を挙げ下げしてもらうことで、身体を使いながらクイズに参加すれば、より楽しめるのではないでしょうか。
国内のオンラインツアーであれば、行ったことのあるところでも、景色を見ることで昔の記憶を呼び起こすことができ、脳によい刺激が与えられます。ツアー先の絵馬を取り寄せておき、事前に皆で一緒に絵馬を書いて神社で結ぶところをオンラインで見ても楽しいかもしれません。川下りや人力車などでは、船の先端や車力をあえて画角に入れ、揺れも補正することなくそのまま活かせば、本当に乗っているような感覚になれます。また、ガイドが紹介した現地のものを最後にお土産としてお渡しすれば、それを見るたびにオンラインツアーのことを思い出して楽しい気分になれるでしょう。
その他、ヨガやストレッチ、介護予防体操や認知症予防体操など、オンラインで講師と一緒に身体を動かしたり、これまでは静かにただ聴くだけだったコンサートに、鈴を鳴らすなどして一緒に参加して一体感を作り上げたり、楽しみ方は沢山あります。
オンラインレクのもたらすもの
高齢者が普段いけないところやできないことをオンラインで楽しむことは、これまで経験したことのない新鮮さに触れたり「いつかここに行きたい」「将来本物を経験してみたい」という目標を持つことができたり、利用者の生活に大きな刺激となり、QOLの向上に役立てられます。新しい介護レクの形は、コロナ禍の収束後も、利用者にとって良いものとして活用され続けるに違いありません。