敬意をもって気持ちよく動いてもらう方法
声かけの具体例
介護の基本は「声かけで合意をとる」と紹介しましたが、具体的にはどのような声かけをすれば、利用者は気持ちよく動けるのでしょうか。どんなに避けられないことでも決して「〇〇しましょう」と引っ張って行ってはいけません。上手く「イエス」を引き出すための声かけパターンをストックしておいて、相手や状況によって使い分けてみましょう。
トイレへの声かけ
本来は、行きたい時にトイレに行くことが文化的な生活と言えますが、施設などでの集団生活の場合、やはり「今行って欲しい」というタイミングが出来てしまいます。そんな時は、案外その理由をストレートに伝えれば理解して合意を得られることが多いでしょう。
「このあと食事の時間ですが、職員の半分が休憩に入ってしまって少し慌ただしくなります。トイレも混むと思うので、今のうちにさっと行っておきませんか。」
「トイレに行くのが面倒だ」と考える人の場合は、何かのついでにすることを提案するのもよいでしょう。例えば、食堂へ向かう途中、あえてトイレの前を通ってそこで声かけします。
「今からご飯ですし、ついでなのでトイレ行っておきませんか。トイレ行って手をきれいに洗ってご飯にしましょう。」
お風呂への声かけ
お風呂が嫌いな利用者や、夏で暑くてお風呂の気分になれない場合など、スムーズに入浴介助が進まない時にも、色んな角度の声かけを試してみましょう。例えば、ちょっと特別感を意識させた声かけはどうでしょうか。
「皆には内緒ですけど、一番風呂ですよ。今が一番お風呂きれいですし、さっとお風呂入りませんか。」
毎回、お風呂に入ることを拒否される場合、ちょっとしたお芝居で「ついで」感を出してもいいかもしれません。ただし、利用者との関係性によっては少し強引になってしまうので、どんな声かけをするかは、あくまでも、相手や状況を見極めて使うようにしましょう。
「お待たせしました、お風呂わきましたよ!あれ、違いました?でもお風呂沸かしてしまったので、お湯もったいないですし、入っておきませんか。」
また、やることのメリットを提示してあげることでも、合意を得やすくなります。
「夏で汗を沢山かいているので、お風呂入ればさっぱりしますよ。丁寧に背中洗いますから、入りませんか。」
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